耳すま日記

NPO法人耳をすませばのブログです

忘れなかった言葉

 

 私の小学生時代はテレビっ子でした。両親が夜の仕事でしたので、誰にも咎められずに一人で夜遅くまでテレビを見ていて、11PMという大人向けの番組を12時ころまで見ていたこともありました。アニメの番組はもちろん、提供会社のCMまで覚えていて、家族はあきれ返っています。自由気ままな生活を送っていたと改めて思います。

 

 夏休み、冬休みは昼もテレビ三昧で、奥様向けのワイドショーまで見ていました。今はほとんどテレビを見ないのは、子供時代に一生分見てしまったからではないかと思うくらいです。

 そんなワイドショーの中に人生相談のようなコーナーがあり、その冒頭に流れる言葉がありました。

なぜかその言葉をいままでずっと忘れず、いろいろな場面で頭をよぎっています。

 

 それは「幸福な家庭はみな一緒だが、不幸な家庭はみなそれぞれに不幸である」という言葉です。

この言葉の出典を知ったのは高校生になったときです。高校1年生の夏休みに読書感想文を書くことになり、何か大作を選んでやろうと意気込んで、ロシアのドストエフスキートルストイの本を選ぶことにしました。選ぶ過程で、トルストイの「アンナ・カレニーナ」を開いた真っ先に書いてあった言葉が「幸福な家庭はみな一緒だが、不幸な家庭はみなそれぞれに不幸である」でした。表現はもう少し難しく書いてありましたが、ああこれだと思いました。

 

 60年以上生きてきて、確かに幸福だと感じる状態は似たようなもので、不幸だと感じる状態はそれぞれ異なっていたと実感しています。NPO活動等でさまざまな人や情報に接していると、この言葉は多くの人にとって真実なのだと思っています。最近発生している事件をみても、みなそれぞれに葛藤を抱えて苦しみながら必死に生きようとし、あるものはそれに押しつぶされてしまう姿が見えてきます。

 

 これから人口減少、高齢化が一段と進んでいくと、これまで体験したことないような状況がさまざまな場面で現われてくるでしょう。「長寿」という言葉がありますが、100年生きて本当に「長寿」と思える人がどれだけいるか不安に思う時もあります。

 

 NPO法人耳をすませば」では、高齢者介護予防事業としてiPadを利用した事業を開始しました。

少しでも高齢者の方々が元気に暮らしていけるようにサポートしていかねばと思っています。

100年生きてよかったと本人やまわりが思えるような社会づくりに少しでも貢献できるよう活動を推進していきます。