耳すま日記

NPO法人耳をすませばのブログです

奈良時代の世界主義・風月同天

 

新しい元号が決まりました。「令和」で出典は奈良時代万葉集からだそうです。古事記日本書紀ではなく和歌集からということで好感を持って受け入れられているようです。

私は高校時代日本史が大好きで、全国大学入試模擬試験で順位が一桁だったこともあります。

奈良時代は日本史のなかでは書物から歴史をはっきり知ることができるようになる時代です。

 

奈良時代の有名な出来事の一つに「長屋王の変」というのがあります。皇族の長屋王と藤原一族との権力争いで長屋王が破れ自害するという事件です。その後、勝った藤原一族は平安時代へと隆盛をきわめていきます。長屋王は政治家としても優秀でしたが、学者としても一流だったようです。

仏教への造詣も深く、中国大陸との交流もさかんにおこなっていました。

 

そんな長屋王が中国に送った袈裟の縁に刺繍された文字が「山川異域、風月同天」です。意味は日本と中国でそれぞれ住んでいる地域の山や川は異なるが、天を見れば同じ月をながめ、同じ風に吹かれているといった内容です。国同士の関係を非常に大きなスケールでとらえた魅力的な言葉として覚えています。鑑真が日本に渡るきっかけになった言葉ともいわれています。

 

いま日本は少子高齢化が進み、人手不足が深刻化し、外国人の受け入れが本格的に進もうとしています。われわれのまわりでも、外国人の姿が増えてきています。

NPOの活動で北見工業大学の留学生と一緒になる場面が多々あります。中国、韓国、モンゴルを中心に多くの国から留学生がきています。彼らと話すのが楽しく、1月には遠軽町で地元住民との料理交流会を開催しました。中国の本場チャーハンやインドカレーなどを一緒に作りながら、小中高生や高齢者との方々との楽しい交流会でした。

     

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草の根的な活動ですが、同じものを食べ、同じ空間を共有することで、気持ちも共有できる部分があると感じています。長屋王が贈ったメッセージは同時代を生きる世界主義のあらわれであり、遠い奈良時代でもそのように行動していたひとがいたことは、誇りに思ってよいことだと思います。

これから急速に進む多様化の時代を、「風月同天」に込められた思いをしっかりと理解し、「ローカルな地球人」として活動していきたいと思っています。