耳すま日記

NPO法人耳をすませばのブログです

“平成の最初と最後の缶コーヒー・PART2”

 平成元年、岩手県二戸市に住んでいました。一戸から九戸まである中で、市なのは二戸と八戸です。それでも東北の田舎町そのもののまちでした。

 テレビの民放局も少なく、夕方4時から「笑っていいとも」をやっていました。その当時、巨人ファンだった家内が巨人の優勝が決まる試合の中継が映らないといって、私が怒られたのも今はなつかしい思い出です。

 

 そんな平成の始まりの年に「はいすくーる落書(斎藤由貴主演)」という学園ドラマをやっていました。その主題歌は「TRAIN―TRAIN」で、挿入歌が「リンダ、リンダ」でした。歌っているのはザ・ブルーハーツというバンドで、なんともすごいアクションが印象深いバンドでした。

 

昨年、「リンダ、リンダ」の替え歌の缶コーヒーのCMが流れました。30年ぶりに聞く

メロディーがなつかしく当時のことをいろいろと思い出しました。

 

 

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 主題歌「TRAIN―TRAIN」の詞の冒頭に「弱いものが夕暮れ更に弱いものを叩く」という部分があります。当時バブル絶好調の時代にはなんとも似合わない気がしたものです。

しかし平成の終わりのさまざまな事件や世相を見ていると平成の30年間は「弱いものが更に弱いものを叩く」ことが加速した30年だったような気がしています。

 

 その当時は、平成の終わりに今のような仕事をするようになるとは、夢にも思っていませんでした。しかし自分が気になったフレーズのように、人生の節々には未来の暗示になるようなことがあると思います。「耳をすませば」が目指す「ソーシャルインクルージョン」は「弱いものがより弱いものをいたわる」社会です。

 

 今、ママCafeで若いお母さん方に色々なことを伝えています。

一番伝えたいことは、子どもたちが「気は優しくて、力もち」になるように育ててほしいということです。

 高齢者が多い社会を、「賢く、たくましく、優しい若者たち」が上手に支えていく姿を思い描きながら「リンダリンダ」と口ずさんでいます。

 

 

平成の最初と最後の缶コーヒー・PART1

最近はカラオケで歌う機会はほとんどありません。自信を持って歌える曲もありませんが、サラリーマン時代から好きな曲はあります。「ヘッドライトテールライト(中島みゆき)」です。NHKプロジェクトXが大好きで、毎回最後に流れる場面で感慨にふけっていたものです。

 

平成も残りわずかになりましたが、「ヘッドライトテールライト」をバックにした缶コーヒーのCMが流れています。チコちゃん風の女の子も登場し、「ボーッとしてみたいし、できないし」といった中年世代の自己存在感への漠然とした不安を感じます。

 

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NPOには2つの役割があると思っています。「未来を切り開く役割」と「現状を救う役割」それぞれ「ヘッドライト」「テールライト」のようなものだと思っています。

自分がそれぞれ代表を務める「北見NPOサポートセンター」は「ヘッドライト」、「耳をすませば」は「テールライト」と意識しています。

 

特に「耳をすませば」の活動は、赤いテールライトが目印になり、「最後尾はここですよという安心感」をまわりに与えていかねばならないと思っています。

 

子育て支援といっても色々な形があります。家族の状況も千差万別です。そういった中で、ここがあってよかった、助かったと思われるような施設でありたいと願っています。

スタッフの皆さんとともにこれからも努力していきます。

 

たまにボーッとしながらコーヒーを飲んでいるときもあるかもしれませんが、

その時は叱らずに見逃してください。

 

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名前への希望

法人名「耳をすませば」の由来を聞かれることがあります。ジブリの「耳をすませば」からですかといわれることが一番多いのですが、半分当たりで、半分外れです。ジブリは当たりで、「耳をすませば」ではなく「千と千尋の神隠し」が正解です。

 「耳をすませば」が運営している「夕陽ケ丘オレンジスタジオ」は子育て支援を中心に活動している共生型施設です。設立準備当初、わかりやすく、子育てに関連して、法人の理念である「ソーシャルインクルージョン」を伝える言葉はないかと法人名を考えていました。

 

 私はジブリのアニメでは「千と千尋の神隠し」が一番好きです。

さまざまな経験を通して、子どもから大人に成長していく千尋の姿とそれを取り巻く登場人物(?)たちのキャラクターとの関わりが人生を体現しているように思っています。

一番好きなシーンは千尋が泣きながら

おにぎりを食べるところで、

「どんなに悲しいことがあってもおなかはすく」

という人間の性(さが)を感じます。

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同時代を生きる人々をやさしく包み込む「ソーシャルインクルージョン」の実現には、声にならない声を聴く、感じ取る姿勢が欠かせません。「千と千尋の神隠し」の主題歌「いつも何度でも(作詞:覚和歌子)」の一節に「ゼロになるからだが耳をすませる」という部分があります。

「人の生き死に」の不思議に思いを巡らせるとき、「耳をすまして生きる」意味の重要性と「自分のまわりの当たり前」が奇跡であることを気づかせてくれます。

子どもたちに「いつも何度でも夢を描き続けることができる環境」を用意しておくことが大人の役割であると考え、法人「耳をすませば」が誕生しました。

 

 今年で法人設立6年目になります。いままでこのような由来の話を詳しくしたことはありませんでしたが、ファミリー・サポート・センター事業の「ママCafe」の中で、さまざまな本を通して子育てに役立つ豆知識を伝えることになり、20年後、30年後に成人として日本の社会を支えていく子どもたちを育てるお母さんたちと語り合う時間を持つことになり、さまざまな本のテーマに関連付けて法人の理念を伝えていくことにしました。

 この活動の結果が出るのは遠い未来で、わたしがそれを見ることはできないかもしれませんが、希望を託すことでいつか法人の理念が実現することを願っています。